平成18年12月12日 石狩市議会第3回定例会 一般質問 
1.樽川地区産廃処理施設計画について 2.第4期総合計画及び財政再建計画について 3.自治体の自浄機能について 4.障害者自立支援法改正について 5.LD・ADHD・高機能自閉症について 6.いじめ問題について
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樽川地区産業廃棄物処理施設計画について ページのTOPへ
【質問:池端】
 まず、はじめに、樽川地区における産業廃棄物処理施設計画についてお伺い致します。
さて、問題の産廃施設に関して本市は、生活環境及び自然環境の保全を図るため、「廃棄物の処理施設設置の基本方針」を策定し、安定型処分場のみ認めており、この度の事案である管理型については一切認めておりません。
この管理型処分場が処理対象とする産業廃棄物の種類には、石綿スレートや石綿管、アスベスト成形板、さらに重金属や焼却ばいなども含まれており、特に、健康被害が懸念される種類が含まれております。したがって、当該地域にお住まいの市民をはじめ石狩湾新港工業団地に勤務する従業員の方々への健康不安は増大するばかりであります。
さらに、この地区では、現に農業や酪農を営まれている方もおり、汚泥や雨水など排水処理に疑問が残るこの施設計画については、決して容認できるものではありません。
当初計画されていた住民説明会も、当該する3町内会のすべてが門前払いしており、この施設設置の中止を求める反対運動を模索していることから、意思表示を明確にしております。
この地域については、将来に亘り本市発展における重要な地区であることに違いなく、住宅地に近いこの地域一体が、ましてや産廃銀座の足がかりになるようなことだけは絶対阻止しなくてはならないと考える次第です。
すでに、市長におかれましては、断固反対の声明を出されていることは承知しておりますが、この事業者に対し、計画断念にむけた、さらなる有効な手立てはないのか、お聞かせいただきたいと存じます。

【答弁:市長】
  これにつきましては、基本的な考え方は、先の議員にもお答えしているところでございます。
 私としては、要は事業者が道に上がっての許認可という対応以前に、あきらめさせるという段階に効果がある動きをしていきたいと思っております。町内会、公害対策本部、新港団地企業連絡協議会等々の各団体やさまざまな意見の総意を結集して、基本方針にかかわらずさまざまな条件を相手のお越しになったときに、そういう話をさせていただいて、あきらめさせるということをまず行いたいと思います。
 その上で、さらに出てきた段階におきましては、市が有しております直接許認可にかかわる問題以外の対応などについても検討の上、適切に施行といいますか、それらの効果を発揮させていただくと、二重、三重の対応で行ってまいりたいと思います。そして、そのようなことをやることを事前に事業者にきちっと説明をさせていただきたいと思っております。
  
第4期総合計画及び財政再建計画について ページのTOPへ
【質問:池端】
 次に第4期総合計画及び財政再建計画についてです。
 現在、第4期総合計画の策定作業も大詰めを迎えております。
 この計画は、本市における向こう10年間の基本となる計画であり、前後期に亘りまちづくりが進められる骨格とも言えるものです。

 計画策定が進捗する中で、とかく問題視されるのが、合併まちづくりプランとの整合性であります。合併まちづくりプランは、合併協議会において大変永い時間を掛け、ほぼすべての事務事業について議論を尽くし、新市の姿を描いた計画でありますし、さらには、財政シミュレーションも含め各事業メニューなども提示されておりますことから、ややもすれば、総合計画を上回るとも劣らない内容であったことは、自明であったと思う次第です。
 しかしながら、財政環境などはその当時想定していた状況から著しく変遷していることから、まちの総合計画へも大きな影響を及ぼす状況にあることは、既に周知の事実であります。
 
 さて、ここで慎重に考えなければならないのは、仮に合併まちづくりプラン通り事業を展開した場合におけるその結末であります。 今や、経常収支比率はすでに93%を超過し一層硬直化しており、また実質公債比率も18%を遥かに超え19.9%と起債に許可が必要な状況であります。 
 仮に、夕張市のように財政破綻などした場合、厳しい事業の制限、職員給与の削減、さらには、住民負担増をはるかに超える住民負担など、市民に大きくのしかかるその重さは想像を絶するものと推察するところであります。しかも、住みづらくなったまちは、早々と見切りが付けられ市外転出が進むことも考えられ、そうなれば税収入もさらに減収するといった悪循環を引き起こす可能性まで想定しておかなくてはなりません。
 
 したがって、今は合併まちづくりプランを一旦凍結する位の考えで、むしろ危険水域にある財政の建て直しを最優先とし財政再建計画の実効性を高めるべきではないかと考える次第であります。そこで、お尋ねしますが、第4期総合計画と合併まちづくりプランとの整合性についてどのようなお考えでいるのかお聞かせください。

次に、財政再建計画について順次お聞きして参ります。
 ます1点目として、財政再建計画における基本的な考え方については、先の同僚議員のご答弁にもあったように、危機的状況が続く財政の建て直しが何より喫緊の課題であることは承知しています。
また、本市は早くから財政構造改革に着手し着実に進めてきましたが、その努力も空しく矢継ぎ早に襲ってくる国の制度変更や低迷する北海道経済などの影響をもろに受けたことに加え、それら緊急事態に確保していたはずの財政調整基金も底をついてしまい、まさに火の車でしょう。
このような状況なかで策定される財政再建計画であることから、歳出削減や市税の徴収強化などに的を絞り、徹底的な改革になるものと思われますが、第4期総合計画を見る限り、すべてのテーマ、各項目について、平成17年度を基準とした実績を上回る成果指標を掲げております。
更なる発展を目指す各施策の指標としては心強い限りではありますが、他方、歳出削減を目途とした財政再建計画の推進があることから、これら性格を異にする計画の同時進行といった神懸りな取り組みに疑問が残ります。この点につき、計画の関係性も含めどのように進められようとするのか、お考えをお聞きかせ頂きたいと存じます

次に、2点目として、新型交付税導入などによる平成19年度の歳入見通しについてですが、平成18年度では、実質赤字が13億円を越えると言った過去最高の単年度赤字を記録しております。この状況の中、平成19年度から新型交付税の導入がほぼ決まっており、あの強烈だった三位一体改革を経験した我々にとって更なる交付税削減になるのではと一抹の不安を抱かずにはいられません。
また、定率減税や配偶者特別控除の廃止など、18年度に行われた税制改正に伴う税収面の影響など含めますと、歳入に一体どのような影響を及ぼすのか、その見通しについてお示し頂きたいと存じます。

次に、3点目として、使用料改定の考え方についてです。
現時点で、特に歳入面の増収が見込めない状況のなか、使用料の改定が盛り込まれております。市民の間では、更なる負担増になるのではないかと不安が囁かれております。市民活動の殆どが、公共施設に頼らざるを得ない状況の中、多くの市民が頓着することもよく理解できます。
そこで、この使用料の改定に向けた基本的な考え方についてお聞かせいただきたいと存じます。

次に、4点目として、事務事業の見直しについてでありますが、第一義だったはずの義務的経費の削減では追いつかず、住民に直接影響を及ぼす座右の事務事業にいよいよメスが入る事になります。
計画策定当初より、聖域無き「選択と集中」と銘打ち、すべての事務事業において見直しを行うことが謳われておりますが、中でも、市民ニーズや事業効果を勘案し、それら事業において優先度の低い事業等を廃止あるいは休止すると示されております。
 そこで、優先度の低い事業とされる事業選定について、どのような基準をもって行われようとしているのでしょうか。例えば行政が行っている事業評価制度のようなものを選定基準とされるのか、事務事業の見直しについてのお考えをお示しください。

この項目の最後の質問になりますが、財政再建に向けての市長の決意についてであります。
財政再建計画について縷縷お聞きして参りましたが、とどのつまり、この計画の蓋然性(がいぜんせい)については市長のお気持一つに掛かっているのではないかと存じます。
 市民の誰一人として、財政再建準用団体への転落を望む者はおりません。
 市制の舵取り担うTOPリーダーの強い信念によって最悪の事態が回避できるものと考える次第です。よって、市長の決意たる強い思いをお聞かせいただきたいと存じます。


【答弁:市長】
  第4期総合計画と合併まちづくりプランとの整合性についてであります。
 第4期総合計画は、合併まちづくりプランをベースとしながら、その後の社会経済情勢の変化などを踏まえて作成することとしておりましたが、御質問のように、本市に置かれた財政環境は、プラン策定時から大きく変化をしておりますので、こうした点には特に配慮し、10年後の将来像である「あい風と人が輝く活力のまち・石狩」の実現と、財政再建計画とを両立することを意図しながら検討したところであります。
 したがって、合併まちづくりプランに盛り込まれた個々の事業につきましても、10年先に目指すべき都市像を見通したときに、何を優先し、何を我慢するか、いわゆる選択と集中により優先度の高いものに行政資源を集中する等の観点に立ち、メニューの見直しを行ったところであります

 次に、財政再建計画の基本的な考え方についてでありますが、本計画の基本的な考え方につきましては、さきの議員の御質問にもお答えしたとおりでありますが、本計画は市民・行政の役割の見直しなど、徹底した行財政改革による行政のスリム化を進め、将来にわたり安定的なサービスを提供できる財政基盤を構築するため、財政再建に向けた取り組みを推し進めるものであります。
 中でも本計画の根幹となる事務事業の見直しにつきましては、すべての公共サービスについて選択と集中の観点から、機構・方法・役割・施策など聖域を設けずに徹底して見直しを行うとするものであり、この取り組み確実に実行することによって、本計画の目標である平成22年度の実質単年度収支の黒字化への転換が達成でき得るものと考えております。
 また、第4期総合計画との関連性についてでありますが、このたびの総合計画は、財政再建という枠組みの中で、自立、協働、共生を基本理念として、選択と集中により使える行政資源が限られたものになることは否定でき得ませんが、市民・企業との協働を進め、地域全体の力を集め、施策効果の向上を目指す内容となっております。両計画は、施策の方向性と連動を図りながら行っているものであり、目指す方向は、まさに車の両輪として推進していくものであります。いずれにいたしましても、財政再建計画の着実な実行なくして、市財政の再建はならずということを肝に銘じ、その取り組みを推し進めてまいりたいと存じます。

【答弁:企画財政部理事・行政経営推進室長】
 私からは、平成19年度の歳入見通しについてお答えをいたします。
 平成19年度の地方交付税等につきましては、これから発表される地方財政計画をもとに、精査した上で新年度予算に反映させることになりますが、現時点での見通しでは、さきの総務省が発表いたしました概算要求でも交付税が出口ベースで、前年度対比マイナス2.5パーセントとなっていることから、地方交付税と臨時財政対策債の合計額は、少なくとも縮減の方向は明らかであると考えております。
 一方、市税につきましては、税源移譲に伴う個人市民税の税率フラット化で約4億4,000万円、定率減税の廃止で約1億円による増収などを見込み、現時点におきましては対前年度対比約6億円の増を見込んでおりますが、この市税を含めた地方交付税、臨時財政対策債、さらには地方譲与税などの一般財源の総額は、対前年度比ほぼ同額程度と見込んでいるところであります。
 また、新型交付税導入に伴う本市の影響額についてでありますが、新型交付税につきましては、政府の骨太方針2006に簡素な新しい基準による交付税の算定を行うと明記されたのを受けまして、総務省は明年度から基準財政需要額の1割程度、約5兆円を従来の算定方式を簡素化し、人口と面積を基本に、基準財政需要額を算定するものであります。その試算方針が去る11月に提示され、その試算方針に基づきまして、北海道において道内180市町村の交付税総額が約27億6,000万円減少するとの試算結果が取りまとめ、過日、報道されたところであります。
 本市におきます影響額につきましては、42万6,000円の増という、ほぼ横ばいの試算結果となっているところであります。
 私からは、以上です。

【答弁:助役】
 今回の改定につきましては、行政サービスの提供と社会経済情勢に応じた適正な受益者負担を求めるために、現在、無料開放となっております花川南コミュニティセンターや高齢者憩いの家の浴室のほか、厚田スポーツセンター、厚田区及び浜益区における学校開放などの有料化など、合併後における市内各施設の料金格差の是正を主眼とした一部施設使用料等の改定のほか、施設利用における減免範囲の縮小に向けた改定をあわせて行おうとするものであります。
 今回の改定案につきましては、過日、11月2日になりますが、使用料手数料等審議会など関係審議会へ諮問をいたし、現在、御審議をいただいており、今後、実施いたしますパブリックコメントによる御意見も踏まえ、来年2月には審議会から答申をいただくものと考えております。

【答弁:企画財政部理事・行政経営推進室長】
私からは、事務事業の見直しの優先順位などについてお答えをいたします。
 財政再建団体が現実味を帯びている状況にありまして、これまでどおり市民サービスを継続していくことは、もはやかなわない状況となっておりまして、この危機的状況を乗り切るために、限りある資源を最大限に活用しながら、歳入に見合った行政運営に転換を図らなければならないものと考えております。
 このため、このたびの財政再建計画の事務事業の見直しに当たりましては、行政の責任領域や関与の必要性、民間地域NPOなどとの協働の可能性、さらに時代に適合したサービスかどうか、また費用対効果や事業評価の結果のほか、総合計画の施策の方針などを総合的に勘案し、それぞれ見直しを図ったところであります。

自治体の自浄機能について ページのTOPへ
【質問:池端】
 次に、自治体の自浄機能についてです。
今般、全国の自治体で不祥事が相次ぎ、逮捕者まで出る有り様で、連日のように新聞、テレビを賑わせております。これは、そこに住む住民の信頼を根本から損なう事態であり、ややもすると健全な自治体にまで、いわれなき疑念を抱いてしまう悪しき連鎖を招く忌忌しき問題であります。
自治体は、そこに住むすべての住民の信頼よってその福祉を実現するために機能する公共団体であることに鑑みても、自ら是正を図る姿勢が必要であると共に、明らかな違法行為や脱法行為など公益に反する行為については内部告発などによって組織の自浄機能を果たすべきと考える次第であります。
現在、各地の自治体では、関連法に則り「公益通報者保護条例」を制定し、不正に関する内部告発のうち公益に資するものを「公益通報」として通報者を保護し、通報先や通報の手順、内部告発者の保護に関する規定を設置しております。
官民問わず組織と言うものは、継続するにつれ必ず何らかの不具合が生まれてしまう危険を孕んでいるものですが、完全無欠であることを信じ求めようとするよりも、これらの不具合を自ら是正する仕組みを内側に設けることが、組織にとっても必ずプラスになると思います。また、開かれた組織、特に公的な組織に必要である自浄機能を持つことは、市民の信頼感を高めることに繋がるのではないかと考える次第であります。
以上のことから、「公益通報者保護条例」を制定する一つの意義を見出すものと考えますが、本市の見解をお聞かせ頂きたいと存じます。

【答弁:助役】
   公益通報者の保護に関しましては、本年4月から施行されました公益通報者保護法により、いわゆる内部通告者の身分が保護されることが明確に規定され、一部の自治体におきましては、既に条例を制定しているとろであります。
 もとより、職員の身分においては、地方公務員法に基づき保護されているところでありますが、通報手続や通報者の範囲を定めることによって、さらなる抑止力の効果が期待できるものと考えますことから、今後、他都市の動向を見定め、条例化の検討を行ってまいりたいと存じます。
 
障害者自立支援法改正について ページのTOPへ
【質問:池端】
 次に、障害者自立支援法改正についてです。
先の新聞報道では、十勝管内中札村で知的障害者授産施設と厚生施設を運営する社会福祉法人が、障害者自立支援法施行によって、施設からの退所を余儀なくされる入所者の出身市町村に退所後の対応策を尋ねたところ、多くの自治体が「対応困難」と回答。その中に札幌市や石狩市も含まれているとされておりました。
本年度4月に施行された障害者自立支援法では、身体、知的、精神の障害ごとに分かれていた福祉サービスを一元化し、収入に応じた負担からサービス利用料の原則一割負担に変わっております。また、障害程度区分はコンピューターによる一次判定、つづいて市町村審査会が行う二次判定を経て市町村が認定することになり、認定区分が3以下の軽度障害と判断された場合、施設から退所が求められることになります。ただし、5年後の2011年までは据え置かれるようになっています。
さて、ここで問題として考えられるのは、認定区分の変更によってどのくらいの影響があるかと言う事です。中札内村の例では、100人の入所者のうち、なんと86人もの方が軽度と区分されています。
本市にある施設においても、このような比率で軽度区分になってしまうのでしょうか。
変更になる方々の想定数をお聞かせ下さい。

次に、他自治体からの受け入れ態勢についてですが、国は、施設運営者に対し、軽度の区分に認定された障害者の方々を、2011年までに退所させるよう義務付けております。そうしますと、今回の中札内村で起きた事案も含め、そのリミットを待たず退所を勧告する他自治体の施設も出現する可能性は否めず、必然的に出身自治体へ身を寄せなくてはならない障害者の方も出てくることも想定されます。
あくまでも、推測ではありますが、そのような事態に対し現段階で受け入れられる態勢にあるのでしょうかお聞かせ頂きたいと存じます。

次に、この項目の最後になりますが、制度変更に対するフォローについてです。
この制度に対しては、障害者やその家族から不満や見直しの声が依然と強くあり、流動的な状況がいまなお続いております。
現実問題として、現段階で家族の受け入れ意向や施設環境の態勢が整っていない状況を考えたとき、これら障害者に対する何らかのフォローを検討しなければならないと考えますが、その対応について、何かお考えをお持ちなのかお聞かせ頂きたいと存じます。

【答弁:保健福祉部長】
 私からは、障害者自立支援法改正による影響についてお答えをいたします。
 初めに、新制度における施設入所者の障害程度区分認定についてでありますが、本年4月からスタートした障害者自立支援法のサービスは、10月から全面施行となりましたが、新制度移行に向けての障害程度区分認定者は現在まで89名となっており、そのうち施設入所者の障害認定については、施設サービスが新制度移行まで5年間の経過措置があることから、現在まで8名となっているところであります。
 
 この施設入所者の認定については、1次判定の後、認定区分審査会での2次判定において、特記事項や医師意見書から、御本人の特性や実態等を十分反映したものとなっており、現在まで退所者は出ておりません。
 
 障害程度区分認定により入所基準に該当せず、変更になる方の想定でありますが、現在まで道内各地の施設などに入所されている方は、総勢97名となっております。これらの方々は、今後、施設の新制度移行にあわせて、順次、障害程度区分認定をすることになりますが、実際にどの程度軽度の区分に変更になるかは、今後の認定作業の推移を見なければ断定できないところであります。

 しかしながら、施設入所者の障害程度区分基準は、基本的に4以上で、50歳以上の方については3以上でも入所できることになっており、また、平成15年度施行の支援費制度時に、直接、御本人や御家族などに面談・調査している状況もありますことから、新制度においても大部分の方が、入所基準に該当する区分認定になるものと想定しております。

 最後に、施設から地域移行への受け入れ態勢とそのフォローについてでありますが、道内各施設の入所者が、障害程度区分認定において、入所基準外となる場合や御本人や御家族の希望など諸事情により施設を退所し、出身自治体である本市に居住される場合、現状ではケアホーム、グループホームにあきがない状況であり、速やかな居住場所の確保は難しいところでありますが、現在、策定中の障害福祉計画においては、具体的な整備目標値を定めながら、地域の受け皿づくりを目指したいと考えております。
 また、場合によっては、御本人の意向を尊重しながら、近隣自治体にある新たなケアホームやグループホームの受け入れなど、地域で自立した生活ができるよう適切に支援してまいりたいと存じます。

LD・ADHD・高機能自閉症について ページのTOPへ
【質問:池端】
 次に、LD・ADHD・高機能自閉症についてです。
LD・ADHD・高機能自閉症については、平成16年12月に「発達障害者支援法」が成立し、平成17年4月1日に施行されました。このことによって、従来制度の谷間に置かれ適切な支援を受けてこられなかった、自閉症、LD、ADHDなどを初めて障害と認定し、乳幼児から成人に至るまでの年齢に応じた支援を国、自治体、国民の責務として定められました。また、「学校教育法施行規則」の改正によって、平成18年度からはLD・ADHDが通級による指導対象として新たに加えられております。
これら軽度発達障害は、極端な知的発達の遅れはなく一見普通に見えることもあり、「見えにくい障害」とも言われています。できるだけ早く発見し、適切な配慮や支援を行うことで、困難を克服できたり、二次的な問題への発展を抑制することも可能です。
来年度からは、あらたに特別支援教育として実施されることから、その準備をすすめていると思いますが、私が聞き及んでいる範囲で問題点を指摘しながら、取り組みの状況をお伺いして参りたいと存じます。
まず、ADHD検査やLD検査など医師によって診断される訳ですが、教育委員会においてはこれら検査結果の提出を求めているようです。
しかし、この検査結果はプライバシー関わる重大な情報であるとともに、学年が上がる事によって検査結果も変わってきます。また、専門的な検査のため理解できる方も少ないと言われますが、どのような目的で検査結果の提出を求めるのかお聞かせください。

次に、LD・ADHDにおいては、こども達の一人ひとりがそれぞれ違う特徴をもっており、教育現場において教師の方々は相当困惑されているのではないかと推測されます。
札幌高等養護学校並びに星置養護学校が特別支援学校などが地域のサポートに当てられることになっているものの、まだ、周知すらされていないようです。また、ある病院では学校に出向き対応の方法など説明してくれるところもあると聞いておりますが、親御さんや教職員をサポートする意味からも、これら外部機関をもっと積極的に利用するようにするべきではないかと考えますが、見解をお示し下さい。

次に、現在の教育現場では、一クラス30人から40人で編成がされており、LDやADHDの子ども達に対し、目をかけ適切な支援や指導を行うことが現実的には難しく、結果としてその子達を無視し授業を進めたり、また、管理職任せにするなどクラスの一員として受け入れないといった事実があり苦情が寄せられております。
これらを解決するには、対応に困っている教師に対するサポートや勉強会の開催によるフォローが必要でありますが、現場では、コーディネーターと教職員が意思疎通を図れる事も必要です。
そこで、これら教職員のフォローについてどのような対策を行っているかお聞かせください。

次に、これらのお子さんを持つ親御さんへの対応についてですが、札幌市には北海道学習障害児・者親の会 「クローバー」があり、LD等の悩みを持つ親達を支援する団体として存在しています。本市においては専門的な支援団体もなく、親御さんの中には特別支援や不登校について相談の窓口が分からず大変困っているとお聞きしております。
そこで、これら相談窓口についてどのような対応を行っておられるかお聞かせください。
また、当該する子どもや親にとって非常にデリケートな対応が求められることは言うまでもなく、教師による不適切な言動や対応が、そのお子さんに精神的な影響を及ぼし、さらにその事が原因で不登校になるなど事例もあると聞き及んでおります。
 教職員の不注意な言動や対応については適正な指導を施し是正しなくてはならないと考えますが、教育委員会としてどこまで現状を把握し、その対応に当たっておられるのかお聞かせ頂きたいと存じます。

【答弁:飯尾生涯学習部長(兼)地域教育推進室長
 私からは、LD・ADHD等への取り組みについてお答えをさせていただきます。
 平成19年度から、LD・ADHD等の軽度発達障がい児を含めた特別支援教育が本格実施されますことから、本市では、これまで養護学校や特殊学級、福祉関係者からなる教育相談支援チームを設置をいたし、相談支援体制の整備を行うとともに、学校には校内コーディネーターや校内委員会を設置するなど、その体制づくりを進めてまいりました。

 また、今年度におきましては、特殊学級介助員の一部を特別支援教育の知識と経験を持つティーチング・アシスタントに改正・充実するととに、特別支援教育のSATを学校に派遣するなど、その推進に努めているところでございます。
 御質問の医療機関等の検査結果の提出につきましては、教育相談や就学指導を行う上で、重要な情報の一つとなりますことから、必要に応じ保護者の同意を得て提出いただいております。

 この情報は、家庭での様子、幼稚園・保育所・学校での様子などの聞き取り情報と合わせ、今後の望ましい教育環境を検討する資料として、活用をいたしているところでございます。
 
 次に、外部機関の活用についてでございますが、本市の特別支援教育を推進する核となります教育支援相談チームには、養護学校を初め大学・医療機関などからもスタッフとして参加していただくなど、外部機関の活用を進めており、今後も学校への指導も含め、さらなる活用と連携を図ってまいりたいと存じます。

 また、教員への研修などのフォローにつきましては、これまでも教員などを対象とした研修会、サマーセミナーなどを行っており、特に学校での核となりますコーディネーターには、定期的な情報交換や研修会を実施いたしているところでございます。

 また、保護者の相談窓口につきましては、本市には教育委員会の担当課を初め、子ども発達支援センター、子ども相談センター、学校のコーディネーターが相談窓口となっているとともに、親の会などの民間組織も活発に活動を進めているところであり、今後もこれら相談機関の周知を図るとともに、各機関との連携を取りながら、各種の相談に対応してまいりたいと存じます。

 なお、教員の不適切な言動につきましては、ごく一部において残念ながら見られることは承知しており、あってはならないことと考えております。これまでも適宜指導を行っておりますが、御指摘の点を踏まえ、さらに指導を強化してまいりたいと存じます。

いじめ問題について ページのTOPへ
【質問:池端】
次に最後の項目、いじめ問題についてです。
ここのところ、いじめや虐待などの問題が新聞・テレビなどのメディアによって連日のように報道されておりますが、その中でも掛け替えの無い幼くとても小さな命が失われる事件が起こっております。この世に生を受けた瞬間から、ひとりの人間としてその大切な人生を切り拓く機会が平等に受け、自らその人生を豊なものにするため、勉学に勤しむこの世代にあって、それら報道を見聞きするたび、大変切なくやるせなく気持に苛(さいな)まれます。
「いじめ」については、天地創造の古よりあったと思いますし、現に私が子どものころにもありました。それでも、私達の時代においては、少なくとも「いじめ」が原因による自殺などは殆どなかったと記憶しております。
しかし、時代の移り変わりと共に、そのいじめの形態も変化し、特に現代の「いじめ」は、陰湿かつ悪質な傾向が強く、ターゲットになった子どもをとことん追い詰め、場合によっては死に至らしめるといった最悪の事態まで招いてしまいます。
先日、私は、国連合同エイズ計画共同センター長でいらっしゃいます、木原 雅子氏の講演をお聞きして参りましたが、今般の「いじめ」の実態については、専ら小グループだったものから、ある日突然、クラス全員が一人の子を、無視したり、または「うざい」「きもい」「くさい」そして、「死ね」といった言動を繰り返し浴びせ、ひどい時には、机、かばん、ロッカーなどへ毎日のように「死ね」と書いた紙を忍ばせるなどして、精神的苦痛を与えるようです。
しかも、クラスの一人として助けるものがいないと言った壮絶な状況であり、受けた子が人間不信になり不登校や引きこもりになってしまうのもおかしくはないと言えます。
将来、その子の長い人生を考えたとき、決して良い影響を及ぼす事のない「いじめ」については、学校・行政・家庭・地域そして第三機関など、あらゆる機関をもって対応しなくてはならない大きな問題と考える次第であります。

そこで、1点目としてお尋ねいたしますが、現在、本市における「いじめ」の実態について、調査の方法も含め、どのような状況にあるのかお聞かせ頂きたいと存じます。


次に、いじめに対する認識についてですが、文部科学省では「いじめ」の定義を、『身体的心理的な攻撃を継続的に加え、相手が深刻な苦痛を感じているもの。なお、起こった場所は学校内外を問わない』としています。
しかし、これら定義があったとしても、捉えかた、感じ方は千差万別であり、具体な行為の何を、どこまでを「いじめ」とするか、非常に難しい判断を強いられると思います。
木原先生によると、この文科省の定義とは違う定義をもって「いじめ」としていました。それは、『しつこくからかい、また無視をし、不愉快感を与える行為及び言動』としています。
一見、それぐらいと思う方もおられると思いますが、実は、子ども達が実際「いじめ」と感じた意見を分析し統計的にまとめ、そこから導き出されたものです。したがって、大人の観点ではなく子どもの観点での定義とも言えるでしょう。
結局、事の大小に関わらず、時には加害者、またある日突然、被害者となってしまうと言った、双方を経験する子供達も非常に多くいる事から、この問題の根深さを物語っています。そして、小学生で経験したものは、中学生、高校生と、いじめの連鎖は途切れることなく続いて行く様であります。
すなわち、些細なことでも看過することなく、初期的段階でしっかりと対応することが、その後にも影響をきたすと言うことになる訳です。
そこで、お聞きしますが、教育委員会として「いじめ」に対する認識についてどのような見解をお持ちかお聞かせ下さい。


最後の質問になりますが、いじめへの対策についてです。
この「いじめ」問題については、家庭はもとより、学校、行政、地域、さらにデリケートな問題の相談窓口として信頼のおける学外の第三者機関の整備や、同時に子ども達への周知も必要であります。
それぞれが有機的に結びつくネットワークの整備や機能を高めることは言うまでもありませんが、すべてに通ずるのは、やはり教育に尽きるものと考える次第です。
幼い時から一貫した、個人を認める教育や思いやりを育む教育などによって、いじめ問題の減少やあるいは最悪事態の回避に繋がるものと考えます。
先にも申し述べましたが、現代のいじめは、その形態が多様に変化してきており、陰湿かつ悪質な傾向になってきております。
まったく信じられない事例としては、インターネットや携帯電話などを使い、個人の悪口を実名で掲示板に書き込んだり、ある町の例では、男子のズボンを下ろし、下半身を写した画像をメールで多数の生徒に送ったりと、まったく人権を無視した行為と言わざるを得ない事例などもあります。
他にも、テレビの見すぎやテレビゲームのやり過ぎなどは、子どもに悪影響を及ぼす危険性が多分にあり、「うざい」といった言葉などもテレビ番組の影響と言われています。また、ゲームのやりすぎについてはもっとも深刻で、ゲーム能といった動作をつかさどる一部の部位しか働かなく、感情や思考に影響を及ぼす危険性があったり、あまりにも低い年齢から野放図にゲーム漬けにしてしまうことで、テレビゲーム内で起こる仮想現実と現実の区別が付かなくなってしまうといった研究結果も報告されています。
それらについては、どこがと言うことなくその危険を喚起し、適宜理解させる教育を施さなくてはならないと存じます。むろん、その時間の管理については個々の家庭が担うものであり、保護者への周知も必要でしょう。
いまや、自分の世界観が著しく強く、他人がもつ世界観をまったく理解しようとしない子ども達が増えていると言われています。
相手の情意を理解する教育や指導が必要であることはもちろんの事、なにより、教え込むというよりは気づかせる事に重点を置いた教育が必要になってくると思います。
民間団体でも、青少年健全育成を主眼に、木原 雅子先生が進めるWYSHプロジェクトやライオンズクラブ国際協会が進めるライオンズクエストなど、危機管理教育や人間基礎教育、あるいは思春期のライフスキルアップを目指した教育プログラムなど開発し全国へ啓発しております。
そこでお伺いいたしますが、本市のいじめの対策としてどのように考えをお持ちかお聞かせ下さい。

【答弁:教育長】
 初めに、いじめにおける実態についてでありますが、文部科学省では、いじめを自分より弱い者に対して、一方的に身体的・心理的な攻撃を継続的に加え、相手が深刻な苦痛を感じているものと定義し、毎年5月に児童・生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査を行っており、17年度の実態調査における本市のいじめ発生件数は、市内小中学校合わせて12件の報告があったところであります。

 しかしながら、本年10月ころから全国的にいじめによる自殺及び自殺予告が相次いだことを受け、市独自で本人がいじめと感じたものすべてについて実態把握を行ったところであり、その結果は、本年度11月の時点において、小学校127件、中学校108件、合計235件のいじめを確認しており、そのうち214件が収束、残り21件が継続中で、解決に向けた取り組みが進められております。
 
 次に、いじめに対する認識についてでありますが、私は、このたびの緊急に行った実態把握の中で、本人がいじめと感じたものすべてを対象としており、その報告結果をもとに、学校においてどんな小さなサインも見逃さない取り組みを進めること。いじめは絶対に許されない行為であること、どんな理由があろうとも認められないといった確固たる強い意思と、毅然とした態度をもって臨むよう強く指導してきたところであります。

 各学校においては、いじめはどの子にも、どの学校、どの学級でも、いつでも起こり得るという危機意識を持つとともに、人権にかかわる重要な問題であり、事の大小を問わず注目し、担任教師のみの対応ではなく全教職員で確認し、指導していくことが重要であるととらえています。さらに、指導に当たっては、家庭・保護者の理解や協力も不可欠と考えております。
 また、御質問にもありましたように、いじめの方法も形を変えて行われていることから、問題の未然防止を目的に非行防止教室等の中で、電子メール、インターネットブログなどによる事故防止にも取り組んでいるところであります。今後ともきめ細かな対策のもとに、いじめにかかわる指導の充実に努めてまいる所存であります。