平成19年12月12日 石狩市議会第4回定例会 一般質問 
1.平和事業について 2.ジェネリック使用意思表示カードについて 3.一般住宅における耐震化助成について 4.新冷房構想について 5.コンパクトシティの考え方について 6.地域総合医療体制の考え方について 7.環道都広域連携について 8.小中学校と地域の連携について 過去の質問へ】
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平和事業について ページのTOPへ
【質問:池端】
  まず初めに、平和事業についてお伺いいたします。本市における平和に対する取り組みについては、世界の恒久平和を願い、平成6年6月に平和都市宣言を施行し、関連する事業として平和作品の募集や原爆パネル展、また沖縄恩納村の子どもたちとの平和の集いなどが行われています。
 
 私は先月、同僚議員とともに、広島市に続き原子爆弾が投下された長崎を行政視察に訪れてきました。原爆が投下された中心地公園や平和記念式典の会場となる平和公園、また原爆資料館とそれに隣接する国立長崎原爆死没者追悼平和記念館を視察し、原爆の恐ろしさはもちろんのこと、改めて戦争の悲惨さを強く感じたところであります。
 
 今、世界に目を向ければ、今もなお紛争や戦争、あるいはテロなどによって尊い人命が失われていることに、深い悲しみと憤りを感じております。日本は、世界で唯一の被爆国として、核兵器の廃絶を世界に訴え続ける長崎市や広島市の役割はとても大きいと思いますし、同時に私たちもまた核はもとより、戦争の根絶を願う気持ちをいつまでも強く持ち続けていかなければならないと感じております。
 
 私は今回の長崎市と、以前に行った広島市の二つの原爆資料館を見学して感じたのは、両施設とも展示されている資料の生々しさであり、心に突き刺さるような衝撃を覚えるのと同時に、胸が締めつけられるようなとてもやるせない気持ちになりました。平和に対する心からの願いは、このような施設を見ることで強く醸成されるのはたしかなのですが、同様の施設は無理としても、せめて日常的に目につく平和コーナーの常設ができないものかと考えさせられました。
 原爆のパネルや被爆された方々の手記の複製など置くことができれば、きっとそこから感じ得るものも多くあると考えます。
 本市には、市民が主体となり建立された「平和の灯火」の実績もありますが、このような市民団体の広がりこそ、その精神の広がりそのものではないかと思う次第です。
 そこで、お尋ねいたしますが、市民による派生的な事業展開に重きを置くよう視点を変え、行政の行う事業を一元化するよう、いま一度見直してはいかがでしょうか。お考えをお聞かせください。
 
 質問の2点目ですが、事業を一元化させる上で最も重要になってくるのは、経年によって次第に薄れていく記憶や意識を、恒常的に保つ取り組みです。平和への願いを、より強く心の中に刻むことが重要であることから、さきに述べました仮称平和コーナー常設などが、それをカバーするものではないかと考える次第です。もちろん展示物や内容についても、よく吟味する必要があると思いますが、この平和コーナー常設について、市のお考えをお聞かせいただきたいと存じます。

【答弁:市長】
 初めに、平和事業の考え方についてでありますが、これまでも各種の平和に関する事業を、市民とともに進めてきておりますが、さらにことし「平和の灯火」の塔を、多くの市民の平和を願うシンボルとして、市民団体により建てられております。この「平和の灯火」が、市民や市民団体が行う平和事業をアピールする象徴的な場に育っていくことを願っております。
 これまで行われてきたそれぞれの平和事業につきましては、例えば石狩の空襲を受けた日、あるいは冬まつりに合わせた恩納村の子どもたちとの交流、市民文化祭と併催するなど、それぞれ開催に至った経緯を持っておりますので、一元的な行事の必要性については理解をしますが、このような事情にあることも、ぜひ御理解を願いたいと存じます。

【総務部長】
 私からは、平和パネル展のスペースの常設化についてお答えいたします。
 市では、これまで市の庁舎あるいは大型商業店舗の一角をお借りして、原爆のパネル展を行ってまいりました。このパネル展では、多くの市民の方々が立ち止まってご覧になられ、特に子ども連れの市民の方々が、子どもと会話をしながらご覧いただく光景も、多く見受けられたところであります。
 過去の不幸な歴史を二度と繰り返さないようにとの思いは、世代を超えてすべての方々に共通する普遍の願いであり、この意義深いテーマについて、日ごろから思いをいたし、平和への思いを高めることは大切なことと考えますが、展示物や展示スペースなどの課題もありますので、その点について検討してまいりたいと考えております。


  
ジェネリック使用意思表示カードについて ページのTOPへ
【質問:池端】
  次に、ジェネリック使用意思表示カードについてお尋ねいたします。ジェネリック医薬品については、既に御存じかと思いますが、特許期限が切れた後発医薬品のことを言い、新薬の特許期間満了後に厚生労働省の承認を得て発売される薬の総称であります。
 
 新薬に比べて、大幅な開発コストの削減と開発期間の短縮が可能なことから、新薬と同じ成分、同じ効き目でありながら、その価格は平均すると新薬のおおよそ半額になると言われております。現在、公共広告機構などによるテレビCMを目にする機会が増えてはいますが、一般的にはまだその認識が高まっているとは言えない状況にあると思います。
 日本医薬工業協議会が発表した2005年の統計を見ますと、アメリカ、カナダ、イギリス、ドイツなどの各国において、ジェネリック医薬品が市場の50パーセントを超えるシェアに対し、日本ではわずか17.1パーセント足らずと低い水準にとどまっていることからも顕著です。
 
 さて、普及拡大については、さきに申し上げた周知不足に加え、ジェネリック医薬品への変更には、当然のことながら医師の処方が必要となりますことから、医療機関の判断に強く左右される状況にあります。欧米では、当たり前となっている一般名処方ですが、日本ではまだ商品名処方が一般的であり、したがって医師によっては成分名よりも製品名を優先し、慣れ親しんできた薬を使いたがる傾向や、あるいは新薬のほうが薬価が高いことから、診療報酬が高く差益のあるほうを優先するなどもその普及を阻害する原因の一つと考えられています。
 
 ちなみに、ある製薬会社の試算データを調べたところ、高脂血症の薬を、仮に1日1回1年間服用したとして、国民健康保険における本人負担3割で計算すると、新薬とジェネリックでは本人負担で6,570円の差額となり、高血圧症においては同様の試算で1年間に7,670円もの差になるようです。これは、あくまでも本人負担の金額でありますから、健康保険事業によって賄う薬剤費を考えますと、相当大きな金額の差になるとは明らかであります。
 現在、危機的な状況にある国保事業を考えたならば、病気予防に努め、いつまでも健康に暮らせることはもちろんのこと、診療報酬並びに薬剤費の抑制についても、喫緊の課題であることは間違いありません。
 
 我が国では、2002年にジェネリック医薬品の使用促進が初めて国の方針に取り入れられ、また2006年4月からは、患者さんがジェネリック医薬品を、より選択しやすいように処方せんの様式も変更されています。しかしながら、何より患者さんの意思表示が重要であります。
 そこで、なかなか言えない、また言いづらい方やあるいは高齢者の皆さんなどが、容易にその意思表示ができるようジェネリック使用意思表示カードを発行するなど、市として取り組んではいかがでしょうか。これらカード発行については、現在、日本保健薬局協会が作成している意思表示カードなどがあり、そのホームページを見てみますと、表示されている画像を簡単にプリントアウトし、本人の名前を入れるだけで使えるようになっております。
 したがって、本人がその旨を了承し、簡単に利用できるようなシステムが行われているわけですが、このように安価で効率よく発行できる手法もあることから、広く市民周知を図る取り組みに一定の価値はあると思いますが、市のお考えをお聞かせください。

【答弁:市民生活部長】
 私からは、ジェネリック医薬品の周知などについてお答えをいたします。
 後発医薬品の使用促進を図るという観点から、患者が医師に対して、意思表示をしやすい環境を整備することが必要であり、ジェネリック使用意思表示カードも、その対策の一つであると認識しているところでございます。
 
 本市では、これまで消費者団体などが、後発医薬品にかかわる研修会と、使用促進のための意思表示カードの普及などについて取り組んでいるにとどまっております。しかし本年11月、厚生労働省から公表されました平成19年度の後発医薬品の使用状況調査結果の概要において、前年比微増にとどまっているという使用状況であることを受けまして、現在、平成20年度の診療報酬改定を検討しております中央社会保険医療協議会小委員会において、後発医薬品の使用促進について議論されるとともに、処方せん様式を、現行の後発品に変更可の場合に、署名する方式から、変更が不可の場合にのみ署名する方式へ修正することが検討されております。
 
 この変更が実施されることにより、患者が調剤薬局等において、後発医薬品の使用を選択しやすくなるものと考えております。また、薬局での患者への説明時間や後発医薬品の備品増に見合った調剤基本料を加算する案も示されているところであり、本市といたしましては、これら国における後発品の使用促進にかかわる対策とその効果などについて、注視してまいりたいと考えております。

一般住宅における耐震化助成について ページのTOPへ
【質問:池端】
 次に、一般住宅における耐震化に対する助成制度についてです。平成7年1月17日に発生した阪神淡路大震災から、もう少しで13年目を迎えようとしています。それ以後、世界各地で大規模地震が発生しておりますが、国内では平成16年10月23日に新潟県中越地震が発生し、甚大な被害を及ぼしたことは記憶に新しいと思います。
 
 地震における主な被害としては、津波、地割れ、断層、液状化そして住宅火災や崩壊などがあります。中でも、火災や倒壊などは個人の財産はもとより、尊い生命までも奪ってしまう危険性が極めて高く、ここ近年は個人住宅における耐震住宅も次第に関心が高まっています。
 
 現在、東京都や政令都市を中心に、多くの自治体で新耐震基準が施行された昭和56年5月31日以前に建築された木造住宅を対象に、耐震診断はもとより耐震診断による総合評価によって、倒壊の可能性が高いと判断された住宅に対し、耐震補強工事助成費や簡易補強、家具等転倒防止工事助成費など助成する制度を設けております。
 
 このように、地震による木造住宅などの倒壊被害を最小限度に留めるこれらの建築物の安全性の向上を促進することは、災害に強い安全なまちづくりを進めていく上で極めて有効ではないでしょうか。
 そこで、お尋ねいたしますが、木造住宅の一般耐震診断及び耐震改善工事等に係る費用の助成制度について、市のお考えをお聞かせいただきたいと存じます。

【答弁:建設水道部長】
  私からは、一般住宅耐震化助成制度についてお答えをいたします。
 一般住宅の耐震化促進については、本市においてもその必要性は十分認識しており、第4期石狩市総合計画や石狩市地域防災計画において、市民意識の向上を図ることとしております。
 また昨年12月、耐震改修促進法に基づき北海道耐震改修促進計画が策定され、その中で各市町村も早期に耐震改修促進計画を策定し、耐震化向上の取り組みを進めるよう求められております。
 本市においても、助成制度を含めた耐震改修促進計画を平成20年度に検討することとしており、その中で議論を重ねてまいりたいと考えております。

 
新冷房構想について ページのTOPへ
【質問:池端】
 次に、新冷房構想についてお聞きいたします。先月、新聞報道で雪捨て場の雪を利用した新冷房構想の記事が出ていました。新聞報道によれば、石狩湾新港地域に設置されている雪捨て場の雪を利用した導水路式雪水熱交換機から得た熱源を、半径1キロメートル以内にパイプラインを敷き、冷房として倉庫などへ供給するという内容でありました。
 
 この事業は、民間会社が小樽市域を中心に行うようですが、この夢のような事業が実現した暁には、新たな省エネルギー型工業団地として、他の港湾と明確な差別化が図られ、ひいては企業誘致にも一段と弾みがつくと期待されています。
 また、実用化が有望なことから、北海道経産局では、本年度の補助事業として採択しているとも書かれておりました。現時点で、この構想に関して市が得ている情報があれば、その内容をお知らせ願います。
 
 さて、雪に関して行政的には、雪国における金食い虫と、まるで疫病神扱いされていたものの、それが一転して、市民や道民の期待を一心に集めるスターダムにのし上がることなど、今まで夢には思っていても、まさか現実のものとなるとは考えもしなかったことであります。
 
 本市は、地球温暖化対策やエネルギー安全保障も意識しながら、本年2月に地域新エネルギービジョンを策定したと承知しておりますが、今回の報道に接し、改めてビジョンの中で雪氷熱利用を取り上げた市の見通しの確かさを感じるものであります。折しも来年、北海道洞爺湖サミットでは、地球環境問題がテーマとなるなど、雪や氷を北海道の強みとして世界に発信するには、まさにグッドタイミングではないかと思うところです。
 
 市としても、さきの事業に負けず、さらに一歩進めて、より具体的な取り組みを検討してみてはいかがでしょうか。市のお考えをお聞かせください。


【答弁:市長】
 次に、雪氷冷熱の利用についてでありますが、御質問の報道は、民間の建設会社が国の補助を受けて、樽川ふ頭用地内に設置する雪堆積場から冷熱エネルギーを地域内需要先に供給する事業の可能性を調査するという内容であり、今後このシステムの建設費の試算、あるいは雪堆積場の維持管理、供給管の敷設の方法、供給の安定性、既存システムとの比較、雪の安定的確保等の課題や冷熱需要の調査等の検討を進め、来年3月をめどに報告書をまとめる予定と聞いております。
 
 また、本市におきましては、市を初め29の法人・個人で構成する石狩雪氷利用事業研究会が平成16年以来、情報収集や講演会の開催などを行ってきたところでありますが、いよいよことしの冬から「サンビレッジいしかり」の横の雪山の融雪水を利用して外気を冷やし、同施設のトレーニングルーム、エントランスを冷房する実証実験に着手いたします。
 雪氷冷熱などの自然エネルギーの活用は、これまでハンディキャップとされてきた風・雪などを、本市の強みに変えるとともに、二酸化炭素削減にもつながるものであります。小規模で簡易な今回のシステムで、効果を上げることができれば、雪氷冷熱の利用可能性の拡大にもつながるというふうに期待をいたしているところであります。
 
 
コンパクトシティの考え方について ページのTOPへ
【質問:池端】
 次に、本市におけるコンパクトシティの考え方についてお伺いいたします。近年、急速に注目を浴びるようになりましたコンパクトシティですが、現在、青森市を初め仙台市や富山市、神戸市などが施策として取り組んでいるのをはじめ、北海道でも札幌市や稚内市が取り組んでおります。
 
 そもそもこのコンパクトシティの発想については、車社会の進展による大型商業施設の郊外出店など、都市の空洞化現象が顕著になったことから、これらの問題に対し、都市の郊外化あるいはスプロール化を抑制し、市街地のスケールを小さく保つことによって、徒歩や自転車の範囲を生活圏とした都市整備の考え方と聞いております。
 それによって、職場と住まいが近接し、交通渋滞の緩和や環境改善、さらに都市の中心部にさまざまな機能を集めることによって、派生的に起こる相乗的な経済交流活動が活発になることから、中心市街地の活性化が期待されております。
 つまり、多くの地方都市が抱える問題解決の発想であり、少子高齢化や総人口減少化に伴う高度成長時代とは全く逆の考え方であります。

 しかし、これは何も都市部だけの問題ではなく、本市においても厚田区や浜益区などにある限界集落の問題において、そこにお住まいになっている住民皆様への不安や、また道路、上下水道などの公共投資や冬期間の除雪など、膨大な維持コストなど、財政負担の問題も小さくありません。
 
 したがって、同地区の将来的なまちづくりを考えたとき、コンパクトシティの縮小版ととらえた市街地形成も必要になってくるのではないでしょうか。もちろんそれを進めていく上で、住民の皆さんの合意形成があってのたまものであり、何よりも重要なポイントになってくることは十分承知しております。したがって、一朝一夕に進む話ではないことと理解もしております。
 
 折しも、行政視察において諫早市を訪れ、合併後のまちづくりについてお話しを聞いてきましたが、各支所において審議会を設置しており、そこでは地域の振興策について、もっぱら議論がされていました。特に、特色を感じたのは、各支所単位で、道路などのインフラに使途を限定した支所への予算配分がされていることで、その使い方によっては、計画的な都市基盤整備も可能と感じました。
 
 本市にも、地域協議会がございますことから、地域の高齢化に伴う公共交通の確保や地域コミニュティ、また子育て支援や介護などの機能を集約した、小回りのきく住みやすいコンパクトなまちのあり方について、段階的に議論していくのもありではないかと考えます。
 そこで、お尋ねいたしますが、この両区におけるコンパクトシティに習った考え方について、市のお考えをお聞かせください。

【答弁:企画経済部長
 私からは、厚田区・浜益区の集落対策についてお答えをいたします。
 居住地やまちの機能を集約する市街地形成を完全に実施できるなら、住む方の快適な生活が確保され、行政コストが縮減されるなどの利点もございますが、居住地選択の自由が保障されている我が国においては、まず住んでいる方の意思を尊重しなければなりません。
 例えば、旧浜益村で周辺集落の自治会役員に、集落移転の可能性を打診したところ、強い反発を受け、その後の議論ができなくなったという経緯があったとも聞いてございます。限界集落対策は、基盤整備あるいは地域協議会などでのあり方論を展開するだけでは解決できない、極めて難しい問題であると認識してございますが、当面は区内での転居を希望する方の対応など、考えなければならない課題であろうと、このように考えております。



地域総合医療体制について ページのTOPへ
【質問:池端】
 次に、地域総合医療体制についてであります。現在、国及び北海道では、医療構造改革に伴う医療提供体制のあり方が議論され、新たなる医療計画の策定がなされております。中でも、医療構造改革では、時間外や夜間・休日診療を行う診療所の減少や、在宅医療を行う診療所の減少、あるいは患者さんの大病院指向などが課題として指摘され、総合的な医療に対応できる医師の養成などが急務とされております。
 
 石狩市における市民ニーズは、時間外や夜間、休日診療を行う医療体制の確保、並びに厚田区や浜益区への永続的な医療機能の確立が望まれているところであり、国や道と並行した医療計画の策定が必要と考えます。
 特に、来年度からは特定検診と特定保健指導が義務づけられることになり、この実施率が後期高齢者医療制度に影響を及ぼす内容となっていることから、保健・医療・福祉を一体的に捉えた政策を考えなければならない時期を迎えています。 したがって、地域における総合的な医療体制の確立を図る上で、その医療を提供できる医師の確保はもとより、現在、本市で開業している医療機関のさらなる連携や役割を補完する仕組みも、また視野に置かなくてはならないと思います。
 
 最近、総合医、かかりつけ医、プライマリー医、家庭医と言われる名称を耳にすることがあると思いますが、その類似する呼称の一つである家庭医については、年齢・性別・疾患にかかわりなく、すべての患者さんを病気としてではなく、一人の人間として接しながら、診療をする医師のことを指しています。
 現在、医療・疾病が多様化、複合化、慢性化する中で、医療の効率性が求められている同時に、医療の質の向上も求められるようになってきています。それに対応するためには、個別の狭い診療領域では対応が困難でありますことから、今後は全診療科目に広く精通し、よくトレーニングされた家庭医がとても重要な存在となってくると思います。
 
 アメリカなどでは、既に確立している家庭医の役割ですが、予防医学から在宅医療まで幅広く対応しており、特に予防医療に精通していることから、地域のゲートキーパー的役割と医学的判断の援助、つまり該当する疾病の専門医がいる医療機関を紹介するなど、在宅医療、終末期医療の提供に大きな役割を果たすと聞いております。
 また、この家庭医により、外来診療に係る医療費について、効率化されたという情報もありますことから、地域における総合的な医療体制としては、とても理想的であると考えます。
 そこで、お尋ねいたしますが、これら新たな体系による包括的な保健・医療・福祉政策について、本市の考えをお聞かせいただきたいと存じます。

 

【答弁:保健福祉部長】
 私からは、地域総合医療体制に関する考え方についてお答えをいたします。
 地域における総合的な医療体制は、子どもから高齢者まで、だれもが身近なところで、安心して診療を受けることができ、また複数の病気を患っていたり、症状によってはどこで受診していいかわからないといった不安を解消し、必要に応じて速やかに専門病院を紹介するなど、迅速・的確な診療システムの確立として必要なことと考えております。
 
 国や北海道においては、総合的に初期診療を担うため、経験豊富な医者を配置する総合診療科の開設のほか、大学病院や地域のセンター的機能を有する総合病院等において、地域のかかりつけ医から専門医を紹介するシステムとして、地域医療連携推進室の開設など、その取り組みが少しずつ進んできております。
 
 本市においても、身近な地域で疾病予防から一次診療までを含めた包括的な地域医療体制を推進することは重要な課題と認識しており、御発言にありました年齢や性別、疾患の種別にかかわらず、総合的な診療に精通している家庭医についても、その推進における選択肢の一つであると考えておりますが、現在、北海道において札幌市を含む医療圏としての地域医療体制の整備・確立を含めた医療計画が検討されている段階でもありますことから、その動向を見定めながら、地元石狩など関係機関との連携を図り、本市の地域医療体制について検討をしてまいりたいと存じます。



環道都広域連携について ページのTOPへ
【質問:池端】
 次に、環道都広域連携についてです。今年に入り、何かと札幌市を中心とした自治体連携の動きが活発化しております。 9月には、観光を主題に上田札幌市長と会談したことは記憶に新しいところですが、先般、石狩管内の6市1町1村の全首長が一堂に会し、札幌圏広域首長懇談会が開かれたと新聞報道で知りました。
 
 この懇談会が、今後、定例的に行われるか否かはわかりませんが、少なくても三好江別市長は今後も継続し、行政の人事交流をはじめ、介護保険や高齢者医療など具体的な課題を、広域で解決していきたいとコメントを残しております。
 私は、平成18年6月の第2回定例会で、介護保険事業の広域的な連携によるスケールメリットについて質問をしておりますが、保険料や施設設置などについて、道州制議論の出口が見えない中、札幌圏における包括的な広域連携もあろうかと感じております。
 
 また、石狩湾施行を有する本市にとって、札幌市は物流や雇用・就業面でも、特に密接な関係にあることから、公共交通機関や道路整備、あるいは公共施設などの相互利用活用など、多角的な見地から手を組み共に歩めるところで歩んでいくことのメリットが大いにあると思います。
 
 競争原理により目くじらを立てながら独立独歩で歩むより、札幌を中心とした衛星都市が環となり、均衡ある発展を遂げることが、道都の魅力をさらに高めることにつながると考えます。
 今後も、この会議体というより腹を割ったぶっちゃけ談義の中、市長はその連携のあり方をどのように求めていかれるのか。まるで感興の輩状態になって申しわけございませんが、管内唯一港を有する本市の今後の行く末を占うことから、市長のお考えをお聞かせいただきたいと存じます。


【答弁:市長】
 次に、管内市町村との広域連携についてでありますが、先日行われた札幌広域圏首長懇談会では、札幌圏の農業のあり方、特に有機農業や都市と農村を中心に意見交換を行いました。
 私は、札幌圏の農業が大消費地札幌に隣接している強みを生かし切れていない現状や、流通加工による付加価値を高める必要性について申し上げました。管内の市町村との広域連携につきましては、地方分権が進む中、限られた財源の中で、自治体が自立をしていくためには、低コストで地域経営をしていかなければならないという状況や地域間競争の中、圏域として優位性を持つ必要があるという背景から、ますます重要性が高まっていると認識をいたしております。
 このため、これまでも共通課題の解決に向けて協議・検討など、他市町村との連携を図るべく働きかけを行ってまいりました。今後、さらに観光や住民交流はもとより、福祉・環境・産業振興あるいは企業誘致・職員育成など、一歩踏み込んだ行政課題についても、連携による行政コストの削減や住民サービスの向上など、事業効果がさらに上がる事業や行政課題について、関係市町村と協議を深めてまいりたいと考えております。



小中学校と地域の連携について ページのTOPへ
【質問:池端】
 最後になりますが、小中学校と地域との連携についてお伺いいたします。近年の急速かつ複雑化する社会変化に伴い、大人である私たちの生活も、少なからずその影響が及んでいると実感することが多くあります。
 高度IT社会は、私たちの生活に今や深く浸透し、特に若い人たちなどはワンセグ、デジカメ、FMトランスミッター付ミュージック携帯、さらにゲームや辞書機能、GPSなど、もはや電話の域を超えたまさにITの申し子と言うべき高機能携帯電話社会に、どっぷりとつかっております。
 
 携帯依存は、ますます低年齢化の一途をたどっており、大げさかもしれませんが若い人たちの間では、携帯のない社会などあり得ないとも言わしめるほど、その地位を確立しております。
 このようなことから、今や子どもたちの中では三種の神器の一つとなり、それを持っている、いないで仲間はずれにされたり、また携帯サイトでは陰湿ないじめが行われ、一つの社会問題となっています。この問題については、学校への持ち込み規制や携帯電話の使用におけるルールをしっかり各家庭で話し合い、子どもたちに理解させることはもとより、場合によってはフィルターリングをかけるなどの対策も必要であることから、さらに学校と家庭との緊密な連携が重要なのは、今さら言うまでもないでしょう。

  しかし、現在モンスターペアレンツと言われる自己本位な保護者がふえており、極めて理不尽な要望を、当たり前のように学校や教師に押しつける、このような親御さんたちに、果たしてこれら的確な家庭教育が行われるのか。また、子どもたちの機微に対応し得る家庭機能が保たれているのか、やや不安が残ります。
 
 昨年、中高生を対象に、北海道青少年問題協議会が行った意識調査の中で、次に述べるような実態が明らかにされました。家庭の悩みについて「親が気持ちをわかってくれない」が最も多く、一見仲のよさそうな家庭でも、実は子どもの本音がなかなか親に届きにくいみたいです。
 また、家庭との会話の頻度について「よく話す」「ときどき話す」と答えたのは、中学生、高校生とも約89パーセントで、話す相手については「母親」と答えた中学生が約47パーセント、高校生が51パーセントと最も多く、次に「兄弟・姉妹」そして最後に「父親」と続いています。
 しかし、悩みや心配ごとになると、その相談相手は家族ではなく、中高生とも「友人」が最も多く、中学生では約34パーセント、高校生では39パーセントに上り、次に「母親」に相談するがが、中高生ともに約21パーセントで、「父親」はここでも最下位で、何と10パーセント未満でした。全く情けない話です。
 
 実は、この原稿を読み合わせたところ、それを聞いていた娘が「うんうん、そうそう」とうなづいていましたが、思わず「どんだけー」と言いたかったところですが、それはそれで皆も認める事実として真摯に受けとめなくてはなりません。
 話を戻しますが、その家庭での悩みの内容については「親が気持ちをわかってくれない」が、中学生で約15パーセント、高校生で12パーセントと最も多く「家庭内でもめごとがある」「家庭の収入が少ない」などが挙げられており、深層きわまるシビアーな問題がうっせきしているようです。
 
 これらプライバシーに触れる悩みが多いのも事実ですが、見過ごせないのは、そのことに起因する心の健康に及ぶ害でありましょう。実際に不登校や非行など、問題行動を起こす原因の一つとして、これら複雑な家庭事情も少なくないことから、何らかの対策を講じなくてはならない必要があると考えます。
 このような現状をとらえ、子どもたちの心の乱れや揺れなど、機微に対応していく上で、特に今後必要となってくるのが、地域に存在にする人材の効果的な活用ではないかと思います。今まで、その地域力の必要性が唱えられていましたが、昨年、北海道教育庁が行った「北海道地域推進事業」に参加し、その有効性を強く実感したところであります。
 その地域連携を、このプロジェクトというものを通して、特に有効性を感じたことから、本市としてその事業の取り組みについて、教育長のお考えをお聞かせいただきたいと存じます。

【答弁:教育長】
 教育行政についてお答えをいたします。
 地域教育の実践と考え方についてでありますが、本市では地域教育の推進を図るために、一貫して学校と家庭、地域の連携による取り組みが必要不可欠ととらえており、これまでも子どもの安全にかかわる地域の協力や学習への支援が具体的に進められており、御質問にありました石狩南高校において、北海道と本市教育委員会の連携による地域教育推進事業、地域からのキャリア育成モデル事業は、高校生の職業感、勤労感などを視点に、学校と地域が共同して取り組んだ事業であり、その手法はだれもが意見を述べられることや、互いに理解することができるなど、地域教育の基盤づくりを進めていくためには有効なプログラムであると考えております。
 
 教育委員会におきましては、本年11月に、地域教育フォーラムを実施いたしましたが、市民協働を進めるために、学校支援推進員やPTA役員などの参加者が、学校を支える地域のあり方についてバズセッションなどを取り入れながら、学びを深める機会を設けたものであります。
 今後も、このような取り組みの充実を図るため、御紹介いただいたプログラムのよい点などを参考に、子どもの視点を大切にすることや市民が参加しやすい手法などを工夫するなどして、これまでの実践をより一層充実させてまいりたいと存じます。